"小熊 輸送コストは多少違うかもしれませんが、基本的には同じ工場で作っていて、労働賃金が同じなんです。バンコクでは電気製品も東京と値段がほとんど変わりません。たとえば東芝の電気製品はベトナム製です。日本の感覚では安いんだけど、タイの感覚ではそんなに安くない。タイの人たちにとってみると、ユニクロの服や東芝の電気製品は、ステータスシンボルなんですね。

私が現地の講演で、日本の貧困層というのは一見貧乏に見えませんという話をしました。なぜならユニクロの服と東芝の電気製品は持っているからです。時給700円で月200時間労働すれば、200時間働くのはけっこう大変ですが、14、15万稼ぐ。家賃に7、8万払うとしても、カンボジア製の服とベトナム製の電気製品は買える。親の実家に住んでいればもっと余裕があるし、古着で買えばもっと安いです。私の今日の洋服は下北沢で700円で買いました。全身、たぶん2000円か3000円で済んでます。"

SYNODOS JOURNAL : 震災後の日本社会と若者(1) 小熊英二×古市憲寿